今年も春作業が始まりました。北海道訓子府町にあるオホーフク農園では、4月に入ると一気にほ場が動き出します。まず最初に手をつけるのが、春小麦の播種です。
今年は「ドラゴンプラス」という砕土・播種作業を一工程で行える機械のデモ機をお借りして作業を進めました。播種作業の詳細は別の記事でご紹介しますが、この記事では私たちが栽培している春小麦の品種「春よ恋」について、どんな小麦なのか、どんな食べ物に使われるのかをまとめてみました。
春小麦とは
小麦には大きく分けて「秋小麦(冬小麦)」と「春小麦」の2種類があります。秋小麦は秋に種をまいて冬を越し、翌年の夏に収穫します。一方、春小麦は春に播種して同じ年の夏〜秋に収穫する品種です。
北海道の寒冷な気候では、冬の厳しい低温や積雪のリスクから、春に播種して短い生育期間で収穫する春小麦の栽培が行われています。オホーツク地方もその適産地のひとつで、冷涼な気候と豊富な日照がおいしい小麦を育てます。
「春よ恋」という品種
「春よ恋」は、北海道農業研究センターが開発し、2000年に品種登録された北海道産の春小麦です。その名前の通り、北の大地の春を象徴するような品種で、道内の春小麦生産量の大部分を占める主力品種に成長しました。
品種の特徴としては、たんぱく質含量が高く、グルテン(小麦粉の粘りや弾力のもとになるたんぱく質)の質が優れている点があります。これがパン作りに非常に適した性質で、国産小麦の中でも特に製パン適性が高い品種として評価されています。
どんな粉になるのか
「春よ恋」から作られる小麦粉は「強力粉」に分類されます。強力粉とは、たんぱく質(グルテン)の含量が高い小麦粉のことで、こねることでしっかりとした弾力と伸びが生まれます。
一般に輸入小麦(アメリカ・カナダ産など)が強力粉の主流でしたが、「春よ恋」はその輸入小麦に劣らない製パン性能を持つとして、国産強力粉を代表する存在となっています。製粉後の粉は白くきめ細かく、吸水性が高いため、しっとりとしたパンに仕上がるのが特徴です。
どんな料理に使われるのか
「春よ恋」の粉が最も力を発揮するのは、やはりパンです。食パン、フランスパン、ベーグル、ピザ生地など、グルテンの力を活かす発酵パン全般に向いています。国産小麦にこだわるパン職人の間では非常に人気が高く、「春よ恋100%」を謳うパンを提供するベーカリーも全国各地にあります。
また、うどんやパスタなどの麺類、餃子や饅頭の皮にも使われることがあります。パンほどグルテンが必要ない料理では中力粉や薄力粉が使われることが多いですが、もちもちとした食感を出したい料理では「春よ恋」の強力粉が活躍します。
今年の播種の様子
今年の播種は、例年より少し早いスタートとなりました。冬の間に準備してきたほ場に、ドラゴンプラスのデモ機を走らせながら、砕土と播種を同時に仕上げていきます。広大な畑に一本一本、種の筋が伸びていく作業は、毎年のことながら気持ちが引き締まる瞬間です。
下の写真は昨年の収穫時の様子です。3台のコンバインが一斉に動く風景は、夏の終わりを知らせるオホーツクの風物詩でもあります。今年播いた「春よ恋」も、この夏に同じように収穫できることを願っています。

まとめ:北の大地が育てる国産強力粉
「春よ恋」は、北海道の冷涼な気候が生み出した、国産強力粉の代表格です。高いたんぱく質含量と優れたグルテン質が、パンをはじめとする様々な料理に使われています。
私たちオホーフク農園も、この品種を毎年大切に育てています。収穫した小麦がどこかのパン屋さんの食パンになっているかもしれない——そんな想像をしながら、今年も播種を終えました。
次の記事では、今年の播種で使用した「ドラゴンプラス」の使用感をレポートします。砕土と播種が一度にできる効率性と、実際に使ってみた感想をまとめる予定ですので、ぜひあわせてご覧ください。
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オホーフク農園(北海道・訓子府町)
家族4人で、100年以上続く農地を守っています。

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